不動産物件を不動産会社に一括借り上げしてもらい、空室の有無に関わらず安定した家賃収入を得ることができるサブリース。サブリースには、大家として収入が安定するというメリットがあります。また自分で物件を管理することもないので、本業が忙しい兼業大家の方にも向いていると言えます。
このように、特徴を見ていくとメリットが大きいと思えるサブリースですが、実はメリットばかりではありません。物件によっては、サブリースを利用しないほうが良いケースもあるのです。そこでここではサブリースを利用しないほうが良いと考えられるケース、3つをお伝えしていきます。
新築で十分に入居が見込める場合
最初に上げるケースは、あなたの所有する物件が新築物件でありそのままでも十分に入居が見込めるケースです。なぜならば新築物件であれば、サブリース契約をしなくても満室経営をすることは難しいことではないからです。この場合、サブリースにすることで本来入るべき収入が大きく減ってしまうでしょう。
不動産物件の管理手数料は一般的に家賃収入の5%とされています。しかし、サブリースの場合は物件にもよりますが、その物件を満室経営できた時の10%から20%の手数料を支払うことになっています。仮に100万円の家賃収入がある物件でしたら、管理手数料は5万円で済みますが、サブリース契約をすることで15万円や20万円といった多額の手数料が取られてしまうのです。
そうなるとローンを使って不動産物件を購入した場合は、自分の手元に残るキャッシュフローが大きく減ってしまい、毎月の収支はローンを返した後は赤字になることもあるかもしれません。
空室を埋めることに時間がかかる物件ならば空室があっても収入が安定するサブリースを利用するメリットは大きくなるのですが、新築物件であれば適正な家賃で募集すれば空室は早々起こりにくいものです。仮に空室が発生したしても、募集後一ヶ月以内の短期で入居者は見つかるでしょう。また新築物件だけではなく、建ててから5年など比較的築浅の物件も同じように高い入居率を維持しやすいので、わざわざサブリースを結んで家賃収入を減らす理由はないといえます。
サブリース契約は新築物件の建設とセットになっていることが多いですが、これはあなたの収入を減らすだけなのでできるだけ避けておいたほうが良いでしょう。
新人大家さんの場合
新人大家さんの場合
次はあなたが新人大家である場合です。新人大家とは、これまで不動産投資を全くしたことがなくこれから不動産物件の運営を始めて行う方です。
なぜサブリース契約を結ぶのが良くないのかと言うと、それはサブリース契約で不動産物件を運営すると大家としての経験を積むことができないからです。
サブリース契約は一度結んだらずっと、物件を所有している限り契約できるものではありません。サブリースで物件を運営している不動産会社側の都合で家賃の見直しを迫られたり、相手の契約内容に問題があれば、あなたが契約を打ち切った方が良いと判断することもあるでしょう。
サブリース契約は不動産の管理運営を不動産会社に委託できるメリットがありますが、逆を言えばそれはあなたが自分で大家としての経験を一切積むことがなく家賃収入が入ってくることになります。
もしサブリース契約が急に打ち切られたとしたら、それまで全く大家としての経験がない方はどのようにすればよいか戸惑ってしまうことになるでしょう。続々と退去が発生しても客付けのための有効な施策を打つことができず、家賃収入が大きく下がり自分のキャッシュフローがマイナスになってしまうことも考えられます。
初めて不動産物件運営をする時は、できれば自分で考え自分で手を動かして満室にする能力を身につけるために、自分で努力した方が良いと言えます。
不動産の物件の運営に慣れて、自分でも満室にすることができるが手間を減らすためにサブリースにしたいという方であれば、サブリース契約は利用するメリットも大きいと言えるでしょう。
これから先賃貸物件の需要減少が起こりそうな場合
サブリース契約は、これまで大家と不動産会社間のトラブルの発生源にもなっていました。不動産会社が不動産投資のことをよく知らない地主に新築アパートの建築を持ちかけ、最初は家賃保証をしていたものの賃貸需要がなくなると家賃をどんどん下げて、結果的に大家の収入がマイナスになってしまったという事例が多数発生していたからです。
サブリース契約は新築時の契約条件がずっと続くものではなく、賃貸需要が減少していきそうな場合は、不動産会社は家賃の値下げを要求してきます。
また日本は地方の過疎が進んでおり、地方から都心に人が集中するために地方の賃貸需要が下がっていく傾向は、この先もそう変わることはないと考えられます。
サブリースがついているから安心と考え、不動産物件を購入してしまうと今後賃貸事情が減っていく地方の物件の場合、家賃収入がどんどん下がっていくことも想像に難くありません。
サブリースによる見せかけの収入の安定に釣られるのではなく、10年後20年後の先を見据えた場所に不動産物件を購入するようにしましょう。
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